もくじ
ざっくり言うと
美容室で断水 つまり、お湯やお水が出なくなってしまったときに困ることとその対策に関するお話です。
美容室で断水 になったら…
みなさま、こんにちは。
美容室で防災推進をしているプレイリーダーの中島です。本業も美容師として現場に立ってハサミを奮っています。
本日は 美容室で断水 つまりお湯やお水が出なくなったときのお話をさせて頂きます。
カラー・パーマ中に断水になったら…
カラー剤やパーマ液・ストレート液。
私たちの毎日をより楽しくしてくれるヘアデザインに使われるお薬達です。
カラー剤の場合
時間が経過するとともに色が染まる効果が無くなっても、髪に対してダメージを与える成分は長時間作用し続けます。
そのため、いずれは「髪が切れてしまう」恐れが考えられます。
パーマ液やストレート液の場合
髪に対してダメージを与えるスピードが更に早く、より深刻なダメージとなって髪の毛を痛めます。
そのため、いずれは「髪が切れてしまう」恐れが考えられます。
極端な例を挙げると、縮毛矯正でストレートにするつもりがパンチパーマになってしまった、なんてことも起こり得るわけです。
カラー剤、パーマ液、ストレート液はコントロールするためのお水
これらの薬剤を使用する際には、美容師が細心の注意を払い、髪質と時間を見ながらお薬の作用をコントロールする必要があります。
その際に最も重要になるのが「お水」です。薬剤をきちんと洗い流す必要があるわけです。
大地震で断水してしまった場合
東日本大震災の際、管轄しているエリア・店舗では停電も断水もありませんでした。
でも、これはラッキーだっただけで、いざ地震が起きた時に断水にならない保証はどこにもありません。
また、速やかに復旧すれば大きな問題になりませんが、地域一帯で断水状態になることもあります。
避難所生活はただでさえ心細いのに、望まない髪型で震災後の生活を強いるのは美容師としては絶対防ぎたいと考えています。
そのためになにを備えるべきなのか???
薬剤を洗い流すために必要な水の量は?
まずは水を備蓄しておくという考えで、どれくらいの量を備蓄すべきか検証してみました。
検証方法はシンプルです。
髪の毛に付着した薬剤を流すために必要な使用量を計量します。
結果は・・・
実施スタッフ7人の平均量は、なんと60L!!
個人個人やお店の設備によっても違うのでしょうが座席数分が必要としても、十分な量を備蓄しておくにはなかなか大きな量です。
水の使用量を減らせないのか?
防災トランプ開発者の福本さんと上記問題を話したところ、
「使用する水の量を減らせないのか?」という話になりました。
そして、お店で試行錯誤した結果、なんと 6L(1/10)まで水の使用量を減らすことができました。
その方法を以下に公開します。
美容師さんには是非、試していただきつつ、もっと良い方法があればご提案頂きたいです。
そして、一般の方は、通っている美容室等の美容師さんや理容師さんに問い合わせてみて、対策をしていない場合は是非この記事を読んでもらうようすすめて頂ければと思います。
水の使用量を減らす方法
プラキャップを使います。
これは美容室にはかなりの確率で常備されている、パーマをかける際に使用するプラキャップです。
これを頭に装着し水を流し込みます。そしていつものカラー剤を流すように頭皮までしっかりと洗います。
水がこぼれないようにお客様にも協力してもらう。
ここでコツとしてキャップがズレて水がこぼれないようにお客様にもご協力を頂き、おでこ辺りのキャップを抑えてもらうとより効果的です。
襟足を洗う際にこぼれやすくなるので注意!
注意点としては襟足を洗う際に水がこぼれやすくなります。
首にタオルを挟み頭の位置を高くし、頭の向きを極力下に向けるようにするとお水がこぼれにくくなります。
しかし、首への負担が大きいので、高齢者の方は要注意!です。そして、体勢がきつくないか確認を取りながら進めることも大切です。
その他のポイント
- 事前にタオルでよ~く薬剤を拭き取っておくと、水の使用量を減らせます
- 最初に流すお水の中に薬剤の中和液を添加するとより効果的です
- お水が比較的十分にあれば、一回目はすすぎ、二回目はシャンプー剤を混ぜて行うこともできます
- 最初の流しに使用したお水は捨てずにタオルに染み込ませ、もう一度拭き取りに使用し、出来る限り拭き取りましょう
この使用量なら備蓄しやすい
これで60Lかかっていた水の使用量を4L~8Lに減らすことができました。
仕上がりは概ね上々です。
肩より下の髪の毛の方で8リットルあれば9割強まで流しきることが出来ます。
避難を優先して美容室を離れた後に行う場合
この方法ならば、緊急避難せざるを得ない状況になったとしてもパイプ椅子を並べたりベンチを使ったりしても応急的な流しを実施する事が可能です。
美容室用の防災持ち出し袋
美容室で準備する防災持ち出し袋にはシャンプークロス・プラキャップ・・中和液・流し用のお水を最低でも4~5L、出来れば8Lは入れておきたいですね。
もし使えるお水が500mlだったなら?
もし使えるお水が少量だったなら(今回は500mlのペットボトル一本とします)…
応急処置の基本的な考えはどんな薬液を使用している場合でもまずは入念に拭き取ることです。
その後お水の約半分量をキャップに入れ、中和剤を添加しよ~く洗います。
その水はやはり捨てずにタオルに染み込ませ、また出来る限り拭き取りに使用します。
その後に残水をキャップに入れて流します。
この時にまだ薬剤の残留がありそうな場合もやはり、タオルに使用後のお水を染み込ませ
拭き取っていきます。
その後は乾燥したタオルで出来る限り拭いていきます。
これで、最も深刻な状況は回避でき、きちんと洗い流すまでの応急処置として効果があります。
真水じゃなくて川の水や海水は使えるの?
近くに安全に川の水や海水を汲み取れる場所があれば最初にそれらの水を使用して流し、最後に真水を使うといった事も可能です。
真水が無ければ海水だけで応急処置をして下さい。髪に対する塩害作用もあるのですが、上記薬剤が与えるダメージには遠く及びません。
※決して無理をせず汲み取りを行ってください。自己責任で実施してください。
※万が一工場排水等に有害な物質が含まれているという可能性もあります。
平常時に河川水質に関する情報を入手しておきましょう。役場の環境課などに問い合わせると情報を教えてくれます。
【番外編】断水以外にも…流し忘れなども
断水以外にも…流し忘れなどのケースもあり得ます。
新人の子にシャンプーしてもらって襟足部分だけ流し忘れてしまった!なんてケースもごく稀に起こります。
※新人の子がシャンプーを行う場合は、ほとんどのお店ではスタイリストが仕上り確認をするものですが。
その場合はご自身で対応せず、必ず施術した店舗に問い合わせして調整してもらうようにしてください。
今回の記事は以上となります。
これからもどんどんと美容室のもしもシリーズを発信していきます。
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中島翔
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