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コツコツ防災|防災訓練を日々の生活から考える

留学生から見た防災トランプ

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はじめに

ざっくり言うと、留学生の視点からみた防災トランプの話です。

于添(うてん)の体験談

uten

 
留学生として日本に来たばかりの頃、すべてが新鮮で、わくわくしていると同時に、結構自分の国と違うところがあり、特に防災についてよくわからないところが多かったです。そんなときに出会った活動が防災トランプでした。

防災トランプとの出会い

防災トランプと初めて出会ったのは、2013年、日本に交換留学した一年間でのことでした。
当時、日本語を約一年半勉強しましたが、まだまだ自由に話せる状況ではありませんでした。交換留学なので、日本にいるにもかかわらず、普段は留学生とのコミュニケーションが多く、日本人と話せるチャンスを探していました。そんな中で、防災トランプと出会いました。最初は日本の防災事情、日常生活をもっと知り、日本語をうまくしたいという思いで活動に参加しました。

トランプの遊び方、日本と中国の違い

日本のトランプの遊び方は中国とあまり変わらなく、しかも防災トランプの遊び方は一般のトランプの遊び方が元になっているので、初めて参加した際も少しだけ説明を受けた後すぐうまくできるようになりました。私のために丁寧に簡単な日本語で、私でも分かるように説明してくれて、想像以上に楽しかったです。

留学生にとっての防災トランプの良さ

私のギクシャクな日本語でも気軽に話せる場を作ってくれました。参加者はみんなバックグラウンドが違うので、様々な視点で問題を見ることができ、多様な人生体験を知ることができました。
留学生にとっての防災トランプの良さを感じた私は、さっそく同じ交換留学中の韓国人の友達にも、防災トランプのことを話しました。すると、すごく面白そうと話してくれたので、一緒に活動に参加しました。

国が違えば防災事情も違う

同じグループに中、日、韓の三つの国の人がいるので、各国の防災事情を話し合ったりして、普段自分の国なら当たり前のことが、他の国の人から見ると、すごく不思議なことであると分かりました。自分は、中国で金属製のマンホールが盗まれ、大雨のときに踏み間違えて毎年死傷者が出る、すごく危ないということを話したら、やはり他の国にはなかったことだと気付きました。そして、このような問題の対策を、みんなで一緒に考えてくれました。

地震が多い国、日本

日本は地震が多い国として世界に知られ、昔から日本の地震に関する防災事情に興味がありました。中国は日本のように地震が多い国ではないため、人生初の地震体験は、まさかの日本に着いたばかりの、税関で入国待ちのときでした。それほど大きな地震ではありませんでしたが、結構パニックになりました。日本では本当に地震が起こると感じ、少し不安になりました。その体験を防災トランプの活動に参加したときにみなさんに話し、もし地震がある時にどうすればいいかを教えてもらいました。みなさんと話していて、一人で日本にいる不安感が解消しました。

防災トランプを通じて得たもの

防災トランプを通じて、みなさんのたくさんの防災に関する面白い体験、経験、知識を知りました。特に日本に来たばかりのとき、非常時用の保存食で何をどのように準備すればいいかすごく悩みましたが、防災トランプ活動に参加したときに、参加者の意見を聞いて、専門の災害時用食じゃなくても、冷蔵庫に一定の量の食材を保ち、消耗した分を忘れず補充するなど、たくさんのアドバイスをいただきました。防災の話だけではなく、生活上たくさんの相談もでき、ゴキブリの退治方法など、当時は日本生活初心者だった自分にはすごく助かりました。

防災トランプは毎回進化していった

防災トランプは、参加者の一人一人の力で進化が続いていると実感しました。最初は日本の防災事情を知りたく、また日本語が上手くなりたい気持ちで参加しましたが、参加し続けると、トランプのハザードの種類、遊び方など、どのように変わればもっと楽しく遊べるかなどを自分から考えるようになりました。主催者の方は参加者のコメントなどを取り入れ、遊び方などはずっと進化していて、どんどん面白くなりました。中国人の友達と一緒に防災トランプに参加したことがあり、その人が中国のトランプの遊び方を元に、新しい遊び方を自分で作ることもできました。とにかく防災トランプは自由で、無限な可能性があるということに気付きました。

防災トランプにさよなら?

交換留学の一年間があっという間に終わって、防災トランプの集まりに一時「さよなら」をいう時が来ました。しかし、留学生にとって、防災トランプは防災に関する経験をみんなで分かち合う場というだけではなく、日本の生活をもっと知り、日本語を鍛えるいい機会であるという思いは一層強くなりました。以前、中国の日本語専攻にいたとき、speakingの授業で、先生がよくロールプレイなどをやりましたが、ロールプレイより防災トランプの方が学生の日本語を話せる能力が鍛えられると同時に、日本の防災などの事情も知ることができ、一石二鳥ないい方法と思いました。

中国の大学で防災トランプ

その考えで、自分の中国の出身校の大学の日本語専攻のspeakingの授業で活用できればいいと思って、speakingを担当した日本人の先生に防災トランプのことを話しました。私の考えを聞いて、先生はすごくやってみたいと話してくれましたが、残念ながら、先生は、その年で仕事をやめて日本に帰られました。
Speakingの授業では防災トランプをやることができなかったのですが、その先生のアドバイスで、まず日本語コーナーで一回試してみました。日本語コーナーは日本語学部が主催で毎週木曜日に行われる、日本人留学生と中国人学生の交流の場を提供する活動です。日本人留学生の年齢層が10代から60代まで、いろんな世代の意見を聞けました。前の日本語コーナーはよく話題探しに苦労しましたが、防災トランプは場を柔らかくするいい活動と思います。

防災トランプの効果

活動中には、ハザードマップを知らない中国人学生がほとんどで、日本人留学生から教えてもらったり、中国人学生も中国で生活すると知っておくべきことを日本人学生に話したりした。話題探しに苦労せず、自然に楽しい雰囲気を作れました。やはり日本語初心者の学生が多くて、うまく話せないところも多かったですが、参加者から「面白かった」などいいコメントをもらえました。参加者の中では、防災トランプにすごく興味を感じ、中国語版の防災トランプを作りたいという話も出ました。

おわりに

その後、私がすぐ卒業して、中国で防災トランプをやる機会はなくなりましたが、もしこれから機会があれば、日本にいる留学生仲間と活動を行いたいです。在日の留学生は地震など自然災害が少ない国の出身者が多く、防災教育は日本のように行き届かない部分も多いと思います。万が一災害にあったとき、対応する仕方がわからない人もたくさんいると思います。防災トランプは日本にいる留学生にとって日本の防災事情を楽しく知る、いい機会になると思います。

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于添(う てん)

于添(う てん)

修士課程東京大学 大学院 新領域創成科学研究科
1992年生まれ、中華人民共和国遼寧省瀋陽市出身。防災エデュケーション協会認定防災トランププレイリーダー。現在は東京大学新領域創成科学研究科自然環境学専攻の修士課程で「中国における小学校の環境教育」を研究。
于添(う てん)

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