防災トランプをプレイするようになって、一番意識するようになったのは、近所付き合いでした。大学入学で首都圏へ出てきてから、これまでに近所付き合いらしいことを一切してこなかった私。最近の引っ越しを機に、そこを変える第一歩を踏み出す決意を固めたのでした。
中村です。長野県千曲市出身で、大学から首都圏に出て一人暮らしを始めました。それ以降、住むのは常にワンルームの賃貸アパート。諸々の事情で引っ越しも2~3年ごと頻繁にしていたうえに、もともと人付き合いにあまり積極的でなかった私は、気づけば、行く先々で近所の人と全くコミュニケーションを取らないようになっていました。
こういった現象は、私の個人的な問題というだけでなく、程度の差こそあれ、都市部に暮らす多くの人にとっても同様のようです。総務省が平成25年に「都市部のコミュニティに関するアンケート調査」を行っており、その報告書が公開されています。
近所付き合いの程度
「あいさつをする程度でほとんどつきあいがない」が57.1% と最も割合が高く、次いで、「まったくつきあいがない」が 22.1%、「家の行き来をするなど、親しく交流している」が 15.0%、「地域の清掃など、決まり事には参加している」が 5.4%となっている。 「まったくつきあいがない」と「ほとんどつきあいがない」を合わせた割合は 79.2%と全体の 8 割近くとなっている。
引用元:総務省「都市部のコミュニティに関するアンケート調査」報告書(平成25年)
この調査でいうと、私は「まったくつきあいがない」の22.1%に属していたことになります。東日本大震災等の大災害が続く昨今、こうした状況はますます問題視されるようになってきましたが、「それは問題だから変えるべきだ」と言われただけでは簡単に行動を変えられないものです。
防災トランプを何回もプレイする中で、都市部でも近所付き合いをしている方の話を聞く機会がありました。もちろん、防災の観点からは、「近所付き合いをしていることで、いざというときに助けてもらえる」といった共助の話題となるわけですが、防災トランプでは話がそこで終わりません。近所付き合いが、日常の体験談として語られるからです。その中で、みなさんが普段の近所付き合いを楽しんでいる様子が伝わってきました。私はそれを聞いて、正直、ちょっと羨ましいなと思ったのです。
そんな中で、また最近引っ越しの機会がありました。今回のアパートはこれまでと少し状況が違って、大家さんがアパートのすぐ隣に住んでいたのです。これは、私が第一歩を踏み出すには絶好のチャンスだと思いました。私も楽しい近所付き合いライフを送りたい! そんな想いを胸に、入居の際、地元千曲市名産の自家製あんずジャムを手に、大家さんの家へ挨拶に行ってきました。
それ以降、家を出る際に大家さんと顔を合わせる機会もたびたびあったので、そのたびに「いってきます」「こんにちは」などと挨拶を交わすことができるようになりました。そんなこんなで半年も経てば、すっかり顔なじみです。先日は、大家さんが庭先で栽培しているほうれん草が食べきれないくらい育ったということで、少し分けていただきました。たかが「ほうれん草」かもしれませんが、私が憧れていた楽しい近所付き合いライフの象徴のようで、私もここまで来ることができたかと感慨もひとしおです。
このように、近所付き合いを前向きに捉えることで、私は第一歩を踏み出すことができました。一般的な近所付き合いのレベルからすれば、まだまだ駆け出しも同然ではありますが、私も防災トランプ等を通して、近所付き合いの魅力を多くの方に発信していきたいと思っています。
中村和彦
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